*二天門*
「人間豹」 昭和9年5月〜10年5月 「講談倶楽部」(第24巻5号〜26巻5号)
二天門は観音様の本堂に向かって右側、東に向いて開いている門で、国の重要文化財に指定されています。元和四年(1618)に建てられた切妻造りの八脚門というものです。いかにもコンクリートの雷門や仁王門と違い古く優美なたたずまいは、とりわけ大切な浅草の宝物という感じです。ですから火事で焼失したりしないよう、すぐ隣に消防所があります。
「人間豹」は四つ足で歩く獣人恩田の話でほとんどオカルトかSFの様な設定ですが、明智の妻である文代さんがこれまた熊のぬいぐるみを着たまま人間豹に犯されそうになるなど、乱歩趣味のエログロが満載、私は乱歩の最高傑作のひとつと思っています。
このホームページではすでに、「仁王門」の大提灯の上から恩田が顔をのぞかせるシーンを紹介していますが、「人間豹」にはこの他にも忘れられないような名シーンがたくさんあります。だれか映像化しないものかしら。とにかくお奨めぜひご一読あれ。