*厩 橋*
「幽鬼の塔」 昭和14年4月〜15年3月「日の出」(第8巻4〜第9巻3号)
「幽鬼の塔」は後半こそ静岡県のS市に作品の舞台を移してしまいますが、前半は下町中をまるで名所巡りするように次々と舞台を変えながら進行していきます。その冒頭が厩橋のシーン、ここで主人公の素人探偵河津三郎がカラのスーツケースを隅田川に捨てた男を厩橋の鉄骨のうえから覗き見したことから、奇妙な事件がスタートするのです。 ところで隅田川の特徴といえば、「橋のギャラリー」といわれるくらい様々な意匠の橋が短い間隔で沢山架かっている点です。そもそも橋の種類には、道路がどの部分に位置するかによって、上路橋、中路橋、下路橋の種類があるそうで、隅田川で言うと上路橋は吾妻橋や蔵前橋、中路橋と上路橋を組み合わせたのが駒形橋、そして下路橋の代表が厩橋ということになります。これらの橋をもっと研究してみたい人は是非とも、隅田川の水上バスに乗ってみてください。