目羅博士

目羅博士は月光の妖術をつかう。
丸ノ内のS通りに向かい合う寸分たがわぬ前のビルの窓から首を吊るまねをする博士につられて、住人が自殺するのである。
そこで目羅博士の殺人を逆手にとった男は、目羅博士とそっくりな蝋人形を窓から飛び降りさせる。つられた目羅博士も窓から落下していった。

「目羅博士」
昭和6年4月/「文芸倶楽部」