柾木愛造

すでに世を去った両親からいくばくかの財産を相続した、27歳の極端に内気な男。
柾木愛造は幼なじみでもある女優木下芙蓉を熱愛し、それがこうじてついに彼女を殺害してしまう。 愛造は芙蓉の死体を自宅の土蔵のなかでずっと愛し続ける。 エンディングで愛造は腐乱した芙蓉の腹に頭を突っ込み自殺する。 乱歩は愛造に自分を投影し、孤独な陰獣と呼んでいる。

「虫」
昭和4年6,7月/「改造」


松村 武

松村武が手に入れた二銭銅貨にはふたつに割れる細工がしてり、なかからは 南無阿弥陀仏と点字を組み合わせた暗号が書かれた紙切れが出てきた。 松村はこれこそが最近、電機会社から盗まれた社員の給料分5万円の隠し場所であると信じて、 苦心して謎を解くが、実際は作品の語り手である「私」が考えたトリックであった。

「二銭銅貨」
大正12年4月/「新青年」